次のパンデミックのためのシナリオトレーニング

回答例新型麻疹の流行・国内発生期

Q森越銀座本店での感染拡大防止策・感染対策を講じる上での具体的な内容や留意事項について検討してください。

産業保健部門としては、現在の感染流行状況や今後の拡大見込みと、会社として取るべき感染対策について、説明することが役割である。

【現在の感染流行状況や今後の拡大見込み】

  • 感染は地域社会的に拡大する可能性が高い
  • 職場においてもすでに4名感染が出ており、感染ルートがバラバラであることからも、さらに職場で感染が拡がる可能性がある
  • 感染は顧客にも広げる可能性がある
  • 一般的な麻疹であれば、症状の出現する1日前から感染力を有するため、対策を講じても感染を完全に食い止めることはできない

【会社として取ることができる感染対策(具体的な内容)】

  • 職場環境による感染拡大のリスク低減策(作業環境管理面)
    換気、物理的距離の確保、会議室等の人数の制限、在宅勤務(テレワーク)の推進、出社人数の制限、症状のある人の出社制限、接触者の隔離(自宅待機)等
  • 人へのルールや補償制度・補助制度の設定(作業管理面)
    発熱や発疹などの症状が出た方の出社制限、感染対策についてのルール化、抗体価測定やワクチン接種の機会提供や、費用補助
  • 従業員個人への働きかけ(健康管理、労働衛生教育)
    • 感染防止策
      標準予防策(手指の消毒や手洗い・マスク装着等)の推奨、交代価測定やワクチン接種の推奨、手洗いやマスク装着のルール化についての説明・感染対策の情報提供(例:社内イントラネット、教育、E-Learning、リーフレット、動画)、在宅勤務やその他の感染対策を行う上での会社の支援策、重症化リスクのある従業員への対応(相談窓口の設置、産業保健職への相談、主治医への相談、配慮事項の検討など)
    • 感染・擬似症・濃厚接触発生時の対応
      社内における感染者数の情報共有、症状がある場合には休むことの説明、感染者と接触した場合の自宅待機ルールの説明
  • 従業員の不安への対応(留意事項)
    感染者が出た職場に関する説明、今後の感染拡大状況に応じた事業縮小(営業縮小)の説明、今後の雇用や収入上の問題に対する説明、ワクチン接種できないものへの配慮、スティグマへの対応(感染者を責めない、個人を特定しない、差別的言動の禁止、海外労働者への誹謗中傷の禁止など)、雇用形態や業務内容への配慮

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本サイトにおいて、本トレーニングで使用する教材は、令和3-5年度労災疾病臨床研究事業費補助金「職域における総合的感染症予防対策に資するガイドラインの作成、体制整備、ツールの開発に関する研究(210801-01)」の分担研究により開発されました。

本教材の無断転用、複製は禁止します。教材の複製等についての問い合わせは吉川悦子(日本赤十字看護大学)までお願いします。

問い合わせ先:吉川悦子:e-yoshikawaアットマークredcross.ac.jp
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